ethical column vol.1

「オルタナティブ教育。子どもに寄り添う学びの形」


サドベリースクールや、シュタイナー教育モンテッソーリ教育など、近年注目を集める様になってきたオルタナティブ教育

クラス分けやカリキュラムが無かったり、一日を森の中で過ごしたりとそれぞれ特色がありますが、従来の教育法に囚われず、子どもの主体性を尊重し自ら考えて行動する力を育むと言う理念がベースになっています。

〔参考書〕

自由学校の設計新装版 きのくに子どもの村の生活と学習 [ 堀真一郎 ]

親だからできる赤ちゃんからのシュタイナー教育新版 子どもの魂の、夢見るような深みから [ ラヒマ・ボールドウィン・ダンシー ]

完/子どもへのまなざし (福音館の単行本) [ 佐々木正美 ]

ここ山梨でも少しずつ増えてきたオルタナティブ教育ですが、今回はそのどのカリキュラムとも違う、『岩崎保育園は岩崎保育園の保育。』と、独自のメソッドを追及しながら子どもたちに向き合う園へ伺いました。

場所は甲州市勝沼町。ぶどう棚とワイナリーが立ち並ぶこの町の中に岩崎保育園はあります。

現園長である雨宮先生が、先代から引き継ぐ形で園長を務める事になったのは、今から10年前のこと。
当時は明確な夢や目標を持たず、保育園に『務める人』だったのだそう。

いつも定員でいっぱいの人気園で働く中で、保育は現場に任せて自身は経営に専念するということは、自然な流れでした。

そんな状況の中、雨宮先生が自園を客観的に振り返り保育を考える気づきを得たのは、いくつかの『当たり前を疑う』出来事がきっかけとなったから。

保育者(大人)が決めたタイムスケジュールやルールの中で子どもを型にはめるだけでよいのか?

小さな子供たちがお腹が空いた空かないに関わらず、同じ時間に食事をすることは良い事なのか?

そんな当たり前になっていた習慣に疑問を持ち、大人の都合に合わせた保育の在り方を考える様になりました。

それから保育の魅力に触れるうちに、保育の重要性を肌で感じ、保育という営みには人を育てる『力』があると探究心が芽生えたのだそうです。

保育園は『人が育つ場所』であり、子どもを『預けるだけ』の場所ではないこと。

保護者と共に『子どもの成長』を喜べる場所にしたいと願うようになりました。

異年齢保育を取り入れている岩崎保育園では、大きな子が小さな子のお世話を積極的にしています。

異年齢の園児と関わり合うことで、コミュニケーション能力が高まり、社会性や思いやりの気持ちが早期から育まれていきます。

外遊びの時間、園庭では思い思いに過ごす子どもたちの姿が見られました。

設置遊具、可動教材(木材、丸太、カゴ等)、自然物(草、花、木など)をベースに自由に遊びを楽しみます。

土や水に触れながらおままごとをしたり、寒空の中裸足で駆け回る子も。

門の所に自然と集まった子どもたちは、先生と一緒に園外の散歩へ出かけて行きました。

何気ない散歩も、クラスごとに時間を決めて出かけるのではなく、その時に『外へ行きたい子どもたちと付き添える先生で出かける』というのは、実はとても大変な事。

集まる年齢もバラバラで、始めた当初は子どもたちも興奮してしまったりと、上手くまとまらない事もあったのだそう。

それが4年たった今、子ども同士お互いの様子を気にかけながら散歩へ行くことが出来るようになったのは、日々の語りかけや小さな習慣の積み重ねが実ったからこそ。

ただ集団で過ごすのではなく、協力し合うことを子どもたちはゆっくりと学んでいきます。
 

コーナー保育(目的に応じてスペースを区切る)を取り入れた室内。『選択型』の保育環境とすることで子どもの意欲を刺激し、『選択・挑戦→失敗・工夫→達成』という成長の循環を支える。
子供の目線の先に手作りのおもちゃを配置。それぞれコーナーごとに工夫されています。
子どもたちが作った色とりどりの星。

一般的に決められたカリキュラムがある園生活では、タイムスケジュール通りに一日を過ごす事を求められます。

岩崎保育園でもベースとなるタイムスケジュールはありますが、食事やお昼寝、造形の時間なども、一斉に行う事はありません。

それぞれの生活リズムに合わせながら過ごし、造形は意欲の高まったタイミングで。

絵本の読み聞かせもゆったりと少人数で行います。

形が決まっている遊び(固定具や玩具)に頼らないで、子ども自身が考えて遊びを展開できる様に環境デザインを進めている。

「子ども同士の対話や関わりを大切にし、手を出し過ぎない事。そっと関わる事は簡単なようで難しいけれど、子どもと関わる保育者は常に意識しています。」

教育現場でよく耳にする先生の大きな呼びかけの声も、この場所では聞こえてきません。

子どもたちに寄り添い、やさしく語り掛ける先生方の姿もとても印象的でした。

「岩崎保育園では、子たち自身が考え、夢中になり探究する、発展させることを大切にする保育を日々追及しています。
安心して生活できる環境の中で、しっかりとした心身の土台を築き意欲や関心を高めていくことが重要だと考えているので、技能や知識の習得に偏った教育・保育は行いません。
これからの人生を強く、しなやかに生き抜くための土台作りを大切にします。」



日本のあたり前になっている教育方法も変化の兆しが見え始めた近年。
ここ山梨でも、オルタナティブ教育に取り組む教育機関は増えつつあります。

もちろんそこには、日々子どもたちの為に奮闘してくださる熱い志を持った先生方がいてくれるという前提ありきです。

当たり前の日常やルールを変えていくのは簡単な事ではありませんが、スタンダードは時代と共に移り変わります。

自ら考える子ども達が減ってしまったと言われる時代。

私達保護者も、これから先の未来を担う子どもたちに、どんな未来を繋いでいくのか?しっかりと考えていく必要もあるのだと思います。

土地柄、待機児童の少ない山梨に住む私たちは、預け先を選ぶ事が出来ます。

近くだから通わせたり、ただ預けるのではなく、どんな保育をしているのか?そしてそこにはどんな想いがあるのか?

ぜひ一度実際に足を運んで、変わりつつある教育の一端を感じてみて下さいね。


*コロナ禍の為、従来の様な見学は行っておりません。
入園見学希望の方は一度園の方へお問合せ下さい。



取材先|岩崎保育園

住所: 山梨県甲州市勝沼町下岩崎1731-3
HP:http://iwasaki.sakurafukushi.com/
連絡先: 0553-44-1524



山山山こどもプロジェクト

保育士等の就職支援、相談、スキルアップ研修・イベントの開催で山梨の保育環境の総合的向上を目指す、若手保育者が園の枠を超えて山梨県の保育・教育の『質』の向上のために立ち上げたプロジェクトチーム。
⇒山山山こどもプロジェクトとは?


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